ハイドン:パリ交響曲集(第82番~第87番)

ハイドン 交響曲第82番 ハ短調 Hob.I:82「熊」


まだハイドンにの楽曲について書いていなかったのが自分でも驚きだ。
古典派を代表する作曲家のひとりで、どうもベートーヴェン、モーツァルト、シューベルトと比べると人気が低い気がするのだが、僕の大好きな作曲家である。
非常に多作な作曲家で、「交響曲の父」の異名を持ち、100曲以上の交響曲を残している。
最もポピュラーなのは「ロンドン交響曲」と呼ばれる12曲の交響曲群だが、この第82番「熊」はそれより早く作曲された「パリ交響曲」と呼ばれる6曲の交響曲群のものである。
「パリ交響曲」群は1784年にパリの演奏集団「コンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピーク」によって委嘱された作品である。
当時世界でも随一の腕を持つ演奏家が集まっていたロージュ・オランピークのためのものということで、ハイドンのよくある室内交響曲風とは異なり、やや規模が大きい。
「熊」も25分ほどで、ハイドンの交響曲にしては長い方である。
ちなみに「熊」というのは後に付いたもので、4楽章のドローンが、熊の唸りに聞こえるからという理由である。
熊というよりはバグパイプ風であり、まあ愛称のようなものだ。
だがこの愛称は、ハイドンの交響曲を理解する上で非常に重要なものとなるように思う。
さすがにその辺のことを「熊」1回で語るのは厳しいので、まあ追々ということで。


力強く始まる1楽章だが、間違ってもここで熊を想像してはいけない(が何かと言われるとわからないのだけれど)。
2楽章はヘ長調とヘ短調の歌が交互に現れる。厳格な印象もあるが、非常に劇的であり情緒的でもある。
3楽章はメヌエット。美しい歌と迫力ある歌の繰り返しが心地よい。
4楽章はヴィヴァーチェで歌い踊るような雰囲気。執拗なドローンに踊る旋律は、全てを忘れて飲めや歌えやの大騒ぎする農民のようだ。


ハイドンの交響曲は(時代的にも・ハイドン個人の問題としても)標題音楽と絶対音楽の揺らぎの中にあると言える。
熊というユニークな愛称は、もしかすると絶対音楽としての作品の奥底にある、ハイドンの秘めた標題性に起因するのかもしれない。
この作品にある何かしらの凶暴性か、或いは農村的な趣のことか。
こういった考察はどこまでも深めることができる。
次回「パリ交響曲」のどれかを取り上げた際に、もう少し深めてみよう。

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アーノンクール(ニコラウス),ハイドン,ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

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