ブラームス ハイドンの主題による変奏曲:変奏曲の命

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Brahms: Symphony No.2/Haydn Va

ブラームス ハイドンの主題による変奏曲 作品56a


管弦楽版と2台のピアノのためのものがあるが、56aは管弦楽であり、こちらが一般的。
1873年、おそらく両版ともほぼ同時に作曲されたのだろう。
ブラームスは多くの変奏曲を作っている。
ピアノ曲だが、ヘンデルの主題、ハンガリーの歌の主題など、名曲が残っている。
中でもとりわけて素晴らしいと僕が思うのはパガニーニの主題だが、まあそれはまたの機会に語ることにしよう。
ブラームスがウィーンに移住してから10年ほど後、彼はウィーン楽友協会の芸術監督に就任した。
そのとき、附属図書館の司書から、ハイドンの楽譜を見せられる。
「聖アントニウスのコラール」と書かれた、合奏用のディベルティメントであった。


ブラームスはこれをいたく気に入って、変奏曲を作ることにした。
主題と8つの変奏、そしてフィナーレ、その全て気品ある、格調高い曲になっている。
この主題が、ブラームスがすぐさま気に入った理由もわかるくらい、耳に残る、本当に素晴らしい旋律である。
ハイドンが作曲したものではない、と言われてもいるが、そうだとしたらハイドンとブラームス、この2人を虜にした旋律ということになる。
変奏曲の善し悪しを決めるのはもちろんその作曲家が提示するバリエーションではある。
そのバリエーションで作品の評価をしたり、批判し合ったりするのは、昔からあったし、当然である。
しかし、この優しく朗らかな旋律を聴くと、それ以上に「主題」の重要性を思い知らされる。
ブラームスらしい厳格なオーケストレーションが、柔らかな主題を一層引き立て、絶妙に気高い変奏曲をなしている。
ブラームスは聴くと疲れる、という曲も多い。
だが、この小さくも完璧な変奏曲の世界は、いつまでも聴いていられる。
これもブラームスの才能だし、またこの主題「聖アントニウスのコラール」の魅力によるものだ。

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