ネリベル スケルツォ・コンチェルタンテ:リズム&パワーの味

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コルヌコピア

ネリベル ホルンとピアノのためのスケルツォ・コンチェルタンテ


ヴァーツラフ・ネリベルという作曲家の名は、吹奏楽経験者なら一度は聞いたことがあるだろう。
『二つの交響的断章』で名高いネリベルは、チェコスロヴァキア生まれの作曲家で、渡米した後は吹奏楽に魅せられ、多くの吹奏楽曲を残している。
今回取り上げるのは、その『二つの交響的断章』の作曲の3年前、1966年の作品。プラハの春が1968年であるから、ネリベルもなかなかに思うところがあった頃であろう。と言っても、このとき彼はアメリカにいたのだが。
余談だが、チェコとホルンというのは、僕の勝手な思い込みだが、なんとなく素敵な相性を持っているような気がする。おそらく、チェコ・フィルのホルンの音がとっても素敵だからだろう。
まあそんなチェコ出身のネリベルのホルンのための作品ということで、惹かれるものがあった。吹奏楽の作品も多く、管楽器の扱いはお手の物なのだろうが、本当に良い曲だ。
しかし、なかなか彼のこういったアンサンブル作品に触れる機会はない。
この作品自体は3~4分の短いものである。気軽に楽しめるので、ぜひとも機会があれば聴いてみて頂きたい。


さて、滅多にこういうことは書かない性質なのだが、敢えて言うと、僕はそれほど『二つの交響的断章』が好きではない。
なぜかというと、正直退屈なのだ。2楽章だけならまだしも感覚的に楽しめるが、15分も味が変わらないのはちょっと不満だ。色んなおかずが出てくるが、すべて濃い味で同じ味付けなのは好みじゃない。
もちろんそれがネリベルの良さでもある。食べた後に後悔することをわかっていながら濃厚なラーメンを猛烈に食べたくなるときがあるように、熱心なファンがいるのは理解できる。
ではこの作品はどうかと言うと、やはり濃い。ガツンと来る濃い味。それを生みだすのは、巧妙に配置されたリズムだろう。ピアノとホルンは、それぞれ単独でも、また双方が組み合わさっても、非常にパワフルな印象を受けるようなリズムが、この曲には存在する。
ホルンとピアノという単純な要素であるが、それがかえって退屈さを回避させている。聴く者を圧倒するホルンの音色を堪能でき、聴いていて飽きることのない演奏時間。
特に最後のホルンの慟哭はしびれる。ブラボー。これは文句なしに格好良いと言える。この作品に出会って良かったと思える。
きっともうネリベルについて書くことはないと思うが、もしこの曲に出会った感動を超える程に説得力を持った『二つの交響的断章』の演奏に出会ったら、そのときには書いてみようと思っている。

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都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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