ビュッセル 日本のメロディーによる即興曲:平安幻想の旅

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ビュッセル 日本のメロディーによる即興曲


アンリ・ビュッセルは、フランスの作曲家・編曲家で、ビュセール、ビュッセールとも表記される。
101歳まで生きたという芸術家にしては長命な人で、彼とポール・ル・フレムは、フランス音楽史に名を残す長生き音楽家と言える。
パリ音楽院でフランクに師事し、グノーの秘書を務めながら、1893年にローマ大賞音楽部門で優勝。
ドビュッシーを支持したり、マスネの最後の20年間にその最も近しい擁護者となったりと、母国フランスの音楽家との関わりも大きい。
こういうマイナーな作曲家を紹介するときは、出来るだけ有名な作曲家とのかかわりを挙げたいと思っているが、そういう意味では紹介しやすい作曲家かもしれない。
ビュッセルはパリ音楽院作曲科の名教師としても名高く、1904年から長きにわたって母校で教鞭をとり、多くの俊才を育てた。
日本の池内友次郎はビュッセルの弟子である。
ほとんどビュッセルの作品を耳にする機会は無いが、今日ではドビュッシーのピアノ連弾曲「小組曲」のオーケストラ用編曲者として彼の名は最も知られているだろう。


今回取り上げる「日本の歌による即興曲」はパリ音楽院ハープ科のコンクール課題曲として1932年に作曲された。
ハープ・ソロのための曲で、長さは8分ほどの小品である。
今日演奏される機会はめったにないが、同じくハープを使った曲としてハープ協奏曲があり、ラスキーヌとラムルー管の録音がある。
この即興曲では、「君が代」や「あんたがたどこさ」の旋律がハープの様々な技法に彩られながら美しく繰り広げられる。
幻想的な雰囲気が漂うこの曲は、即興曲の名にふさわしく、日本の旋律が自由にアレンジされ、まさに「フランス人の表現する日本」という独特の世界観を持っている。
ハープで和の音色を聴くと、まるで琴の音響く平安屋敷や、あるいは源氏物語の世界へ行ったような、尋常ならぬ異世界感が。夢心地とはこのことか。
源氏物語では、主に琴を弾くのは光源氏。その天才的な演奏に、聴く者は皆涙する程だという。聴いてみたいものだ。
そんな物語上の伝説のマエストロが弾いていると思って聴いたら、それはそれは美しい世界へと導かれる、ハープ・ソロの珠玉の名曲だろう。
しかし、平安などと言ってはいたが、クライマックスはしっかりと西洋音楽。やはりビュッセルは西洋人なのだ。

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