イベール 祝典序曲:パリジャンの小神秘

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佐渡裕指揮 - イベール:管弦楽作品集

イベール 祝典序曲


1940年、日本の皇紀2600年を祝うイベント、「恩賜財団紀元二千六百年奉祝会」が行われた。
この「祝典序曲」はそのために海外の作曲家に委嘱して作られた「皇紀2600年奉祝曲」のひとつである。
この他には、R・シュトラウスの「日本建国2600年祝典曲」、ヴェレッシュの「交響曲第1番」、ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」などがある。
イベールの祝典序曲は、山田耕作の指揮によって演奏された。
当時イベールはローマのメディチ荘の館長を務めており、最も躍進していた時期と言えるだろう。
イベールというと軽妙洒脱というイメージがあるが、この曲は式典向けということで、厳粛さもある。
寄港地や海の交響曲とは一味違う、擬古典風な、より高貴なイメージのする曲だ。


イベールの曲は、フランス6人組と比されるように、ドビュッシーやラヴェルをもっともっと技法的に洗練しつくしたような雰囲気で、洗練されすぎていてちょっとよくわからない、というものも多い。
喩えるならパリコレのようなもので、オシャレだなあと思いつつも、日本でTシャツにジーパンで過ごしている僕には高嶺の花だ、という感じだった。
だが祝典序曲を聴いてから、イベールがぐっと近くに感じた。
言うなれば、パリのデザイナーがとってもオシャレなTシャツとジーパンを日本向けに作ってくれたようなもの。
聴きやすい旋律の中に、一流のオシャレさがうまく溶け込んでいる。
中間部のアルトサックスとバスクラリネットによる主題の美しさは、一風変わった神秘的な響きと旋律の優雅さによる、まさにイベールのエスプリである。
皇紀を祝すこの祝典序曲は、オシャレなパリジャンの魅力、そして高雅で品格ある日本の式典の雰囲気の両方が内在する、これぞ名曲だ。
さて、少し冗談に走りすぎたが、最近真面目なことばっかり書いていたから、たまにはこれくらい書いてもいいだろう。

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佐渡裕,イベール,コンセール・ラムルー管弦楽団

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