ケルンWDR交響楽団、来日公演では旧称のままでチラシ載るんですね。指揮はヤノフスキ。楽しみですね。別プロではチョ・ソンジンのピアノで協奏曲やるそうです。そちらも聴きたかったですが、まあ予定的にしかたない。
【ヤノフスキ指揮ケルン放送響 来日公演】
(2019年11月21日、東京オペラシティコンサートホール)
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
アンコール ベートーヴェン 交響曲第8番 ヘ長調 作品93より第2楽章
指揮/マレク・ヤノフスキ
管弦楽/ケルン放送交響楽団
3階席には高校生と思しき団体が。いいですね、高校生のときにこんなの聴けるとか。まあ大半は興味ないでしょうが。かく言う僕も、実は行けないと思っていたので正直ノーチェックだったのですが、行けることになったのであまり予習もなし。曲は有名曲なので良いのですが。特に熱いファンでもないですし、最近のWDRをそんなにたくさん聴いているわけでもなく(しかも珍しく聴いた2015年のブッフビンダー独奏サラステ指揮のベートーヴェン皇帝、これが本当にしょうもない演奏で残念無念)、ヴァントのブルックナー全集を聴きまくっていた頃が間違いなく1番たくさん聴いたオケです。あの頃は本当によく聴いていましたね、特にジョギングしながらよく聴いていたので、今でもその風景などが蘇ります。その録音だって70~80年代ですし、あまり参考にはならなそうですが、生で聴いて思ったのは、丁寧な音楽なのは変わらずですね、ヤノフスキの音楽性もあるでしょうが。
来日1発目でしょうか、そうとは思えないほどの高いアンサンブル精度、音圧や音量もデカ過ぎず、また迫力に欠けることもなく、オケの安定した技術の高さがわかります。先週聴いたウィーン・フィルなんかとはまた違った、良い意味で脂っこくないというか、トロではなく赤身の美味さ的な、すみません適当なことばっかり言ってますが、悪く言えば地味ですが、世の中大体、地味と言われるものはそこが魅力なんですよね。多分全く知らない曲だったら面白みも少ないかもしれませんが、よく知っている曲であれば、逆に余計な音圧などに邪魔されずに、パート毎の歌い方、フレージング、ダイナミクスの調整による表現がダイレクトに伝わりますしね。テンポについても、音楽の中にある運動性のようなことをヤノフスキは語っていますが、全体的に快速で、心地よかったです。特に田園なんか、スイスイ進んじゃって、それでこのケレン味の少なめの歌わせ方、粋だなあと。7番も速いのかなーなんて思っていたら、案外堂々の1楽章で「なるほど」なんて思っていたら、2楽章は速い速い。この楽章、あまりに速いと(多分テンポだけれなくてグルーヴの問題かもしれません)、フューネラルマーチなんてどこへやら、フーガのような音楽に聞こえてきて、面白かったです。アリよりのアリ。スイスイ進むけど、常に抜かりない表現をきちっと決めてくる。すごい。アンコールも6,7ときて8で、客席みんな納得だったんじゃないでしょうか。素敵なベートーヴェンでした。
ケルン放送響というと、ヴァントのブルックナーを聴きまくっていた当時から、味気ないというか堅実な演奏はブルックナーへ傾倒させてくれた大きな要因でもあったのですが、逆にブラームスやベートーヴェンの録音にはあまり惹かれなかったんですね。そして今ちょうど、ベルリン・フィルも来日してブルックナーをやっていて、昔の自分ならケルンのブルックナーとベルリンのベートーヴェンを好むのかなあ、なんて思ったりもしました。当時に比べると、自分もかなり色々なスタイルを受容するようになったなあと、しみじみ。そんな事を少し思い出したり。サントリーホールもそうでしたが、オペラシティも、どこもクリスマスの装い。
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都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more