ツェムリンスキー、ベルク&ウェ

ベルク 弦楽四重奏曲 作品3


新ウィーン楽派の3人を一通りこのブログで紹介して、次は何を書こうかと思い、まだ紹介していない有名な曲について書くのも良いかなと思ったのだが、超有名曲はここでは外して、あえてベルクのちょっと知名度の低い作品について書くことにした。理由は適当にお察しいただきたい。
この作品は、ベルクがシェーンベルクのもとで学んでいた時代の最後の作品で、1910年の春に完成、翌年の春に初演された。
シェーンベルク大先生はこの作品を高く評価したのだが、いまいち知名度が上がらないのはなぜだろう。
やはりベルクの弦楽四重奏曲というと、どうしてもかの名曲「抒情組曲」の方が挙がってしまうからかもしれない。
ひとまず「抒情組曲」は置いておくにして、「弦楽四重奏曲」の方に戻ろう。
新ウィーン楽派としてベルクの他に紹介したシェーンベルクとウェーベルン、その彼ら両方の音楽の影響を非常に感じる作品である。
シェーンベルクから学んだものを発揮しようとしている姿と、1900年代初めにいくつも弦楽四重奏曲を発表したウェーベルンに対する意識が、はっきりと感じられる。


2楽章構成の20分ほどの作品で、献辞に「わが妻へ」とある。
初演が1911年の4月で、翌5月にベルクは結婚する。
だがこれが愛の音楽かというと決してそういう趣きではない。
これはベルクという男が、結婚の際に立ちはだかる壁に戦いを挑む、そういった趣きの曲なのだ。
ベルクの婚約者ヘレーネ・ナホツキーは、病弱であるという理由と、ベルクの職業(作曲家)の不安定さという理由で、父から結婚の大反対をくらっていたのだ。
全音音階から始まる第1楽章(Langsam)は、ゆっくりという指示ではあるが、その際立ったリズムからは、熱い反抗の心を感じることができる。
第2楽章(Mäßige viertel)は、1楽章の発展形とも思われる音楽が、より多彩な技法で、より熱く激しく奏でられる。
注目すべきは各楽章の終わりで、1楽章はpppp、2楽章はfff、と実に興味深い。
歯ぎしりするような悔しさと葛藤、反抗心と克己、情熱的でドラマチック。内容の非常に濃い作品である。
しかし、愛の歌ではなく、こういう戦いの作品に、妻へと献辞を付すとは、ベルクも何を考えているのだろうか。
何を隠そう、もうひとつの名曲「抒情組曲」は、不倫相手への愛が歌われる作品だ。
芸術家らしいと言えばまあそうだが、彼は若かったのだ。

String Quartet 1 String Quartet 1
Zemlinsky,Berg,Webern,Vienna String Quartet

Camerata

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