ボロディン 交響詩「中央アジアの草原にて」:融和と包容

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ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」

ボロディン 交響詩「中央アジアの草原にて」


ロシア国民楽派の5人組のひとりであり、同時に医師であり、化学者でもあるボロディンの7分程の小品。
長さは短いが、大変わかりやすく、また実に巧みな構造を持ち、いかにもボロディンらしい美しい旋律が響き渡る名曲である。
ロシアの民謡調の旋律が奏でられ、そこに馬(ロバ?ラクダ?)の足音とともに中央アジアの民族的な旋律が順に奏でられる。
草原の風景、広く穏やかな草原にてやさしい風とともにロシアの衛兵と中央アジアの民が馬に乗ってゆっくりと移動している風景が目に浮かぶ。
やがて2つの旋律は重なり合い、最後はフルートソロによるロシア旋律が奏でられ、彼らの姿は見えなくなる。


全体的にロシアの旋律がリードしているのは、ロシアによる中央アジア征服の影響があるらしい。
だがボロディンが表現しているのは、それぞれの民族が持つ音楽の素晴らしさ、面白味、また西洋音楽によるそれらの融合美、といったところだろう。
ボロディンの作品の多くはロシア風(もはやボロディン風ではあるが…)が強く、それが魅力だと思うのだが、民族音楽に対する意識も強い。
特にこの曲では、故郷ロシアの音楽と異民族の音楽がはっきりと対比して表されている。
その上であからさまにロシア讃といった表現をとっているところがなんとも面白い。
この曲で民族の融和を音楽的に描いたボロディンは、ロシアの帝政期、中央アジア征圧を母国の誇りと思っていたんだ、と思うと、彼のロシア愛に好感が持てる気がする。
この曲はとても平和的で、我々も中央アジア丸ごと、ボロディンのロシア音楽に包み込まれるようだ。

ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」 ボロディン/交響詩「中央アジアの草原にて」
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団,ボロディン,アシュケナージ(ウラジミール)

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