ヘンデル 王宮の花火の音楽:歓喜の音楽

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ヘンデル 王宮の花火の音楽 HWV 351


1748年にオーストリア継承戦争が終結し、それを祝う祝賀行事がイギリスで執り行われた。
ヘンデルはドイツ生まれの作曲家で、後にイギリスに移住する。
当時のイギリス国王ジョージ2世は、この祝典(ロンドン・グリーンパークの花火大会)のための曲をヘンデルに依頼した。
国王の意向で、強く逞しい雰囲気を出すため、管楽器と打楽器だけで演奏されたが、ヘンデルは弦楽器も使いたかったようで、現在は弦楽器が入る版が多い。
「水上の音楽」と並び、ヘンデルの中でも人気の高い作品である。
序曲・平和・歓喜の3部構成だったが、後にブレー、メヌエットⅠ・Ⅱと舞曲が加わる。
全体的にお祝いムードにあふれ、それでいて勇壮で品格ある曲調は、バロックならでは、ヘンデルならではのものだ。


管楽版、管弦楽版、ともにそれぞれの良さがあり、どちらがおすすめとも言い難い。
楽しみ方としてはピリオド楽器(当時使われていた古楽器)による演奏を聴く、というのも1つだ。
現在の楽器と比べ、音量・音程・音質ともに不安定な楽器だが、それらを用いて演奏するバロック音楽には、やはり現代の完成度の高い楽器にはない良さがある。
プロが演奏しても音程が狂っていたり、トリルでつまずいたりするが、それもまた魅力に思えてしまう。
現代の楽器を使っていても、構成や奏法にかなり違いがある。
古楽器を用いた演奏、現代楽器でバロックの音の再現にこだわる演奏、当時の祝典のような大規模な楽隊の演奏、と様々だが、共通するのはそこに「歓喜」があることだ。
2002年のエリザベス女王即位50周年記念野外クラシックコンサート、「Prom at the Palace」では、女王も観覧する中、サー・アンドルー・デイヴィスの指揮でこの曲が演奏され、「歓喜」が始まると同時に花火が始まり、観客は正に歓喜の渦に包まれた。
様々な場で、様々なスタイルで楽しまれている、クラシックの「正統派マスターピース」と言えるだろう。


ちなみに、初演の際の花火大会は打ち上げに失敗、さらには火事まで起こし、打ち上げの木造仮設建築が、「ブリタニアに平和を手渡す国王ジョージ2世像」ごと焼け崩れるという非常に残念な結果となっている。
しかし、この曲はちゃんとこうして現代でも演奏されるのだから、音楽というものは偉大だ。

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