ブルックナー 交響曲第7番:それでも彼は美しい

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ブルックナー:交響曲第7番(ノーヴァク編)

ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調


マーラーと同じく、ブルックナーについても書くのを避けていたのだが、そろそろ書いてみよう。
そもそも、ワーグナー、ブルックナー、マーラーといった作曲家の作品を聴いたのは、僕の中ではかなり後の方である。
おそらく、僕は現代に生きているから、彼らの作品を名曲と思って聴いて楽しんでいるが、もし同時代に生きていたら、きっと「反ワーグナー派」の言葉に飲み込まれ、ブラームス礼賛、ドビュッシー礼賛、という風になっていただろうと思う。
まあそんな仮定は置いておいて、本題に戻ろう。
ブルックナーの7番は、4番と同じように、このブログで取り上げやすい理由があり、それは、いわゆる「ブルックナーらしさ」が少なく、比較的緩さのある曲だからだ。
1楽章のモティーフも馴染みやすいし、何より2楽章のアダージョが抜群に美しい。最後の部分は、ワーグナーの訃報を受け、亡き巨匠を回想する歌となっている。
ワーグナーチューバの響きが奏でる嘆きの調べ、2楽章の全てをまとめ上げるようなこの葬送曲こそ、この作品1番の聴き所に思う。
ワーグナーチューバの響きは、それそのものも十分美しいが、僕は特に、他の作曲家の交響曲にはあまりない、ワーグナーチューバの響きによってさらに生きるフレンチホルンの響きが格別に思う。
3楽章スケルツォも個人的に好きだ。アダージョと対比され、ここでかなり興奮する。


交響曲の楽しみ方は無限にある。
ブルックナーの交響曲からは特にそれを感じる。たとえそれがブルックナーらしくないとされる7番であっても。
ブルックナー好きにとっては実に物足りない感のする(僕もちょっとそう思う)4楽章でも、それが大衆ウケするのだ。
7番で長く議論を呼んだいわゆる「シンバルは本来どこで鳴るべきか」という問題にしても、まあ専門家にまかせておけば良い。
色々な版があるが、どれもそれぞれの良さがあるし、そこにブルックナーの才能を感じるとも言えるだろう。
クラシックオタクにとって7番の評価は非常に分かれるところだが、そうでない人にとっては、多分7番は聴きやすいだろう。
まあ、大体1時間くらい。僕のような「ややアンチワグネリアン寄り」の人間には、7番の1時間は至福である。
「クラシックは好きだけど、詳しくないし、あんまり長くて有名じゃない曲は聴かないなー」
「ブルックナー、名前なら聴いたことあるけど…」
という人に告ぐ、まず「ブルックナーの7番を聴いて、その美しさに陶酔して頂きたい。」
そして「これがブルックナーだと思うなよ!!」と。
「ブラボー!」と思ったら、その先には解釈、版、ライブ、録音…クラシックオタクの道は拓かれる。


追記:今まで一度記事を書いた作曲家の他の曲には触れず、違う作曲家の曲を書いていたのですが、これからは今まで書いた作曲家の別の作品にも触れて行きつつ、まだ登場していない作曲家の曲も取り上げていきたいと思います。

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