ボルゲーゼ美術館展 東京都美術館

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これまたちょいと前ですが、東京都美術館のリニューアル前最後の展覧会となる「ボルゲーゼ美術館展」に行ってきました。


ボルゲーゼ美術館は、ローマ北東部にある公園の中に位置する美術館です。
ローマ教皇の甥でもあったシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿(1576-1633)は、17世紀を代表する大パトロンであり、彼のコレクションが収められています。
ルネサンス・バロック美術のコレクションとして世界でも名だたる彼のコレクションが日本で紹介される初めての機会だそうです。


今回の目玉は何と言っても上の2つです。
左はラファエロの「一角獣を抱く貴婦人」です。
1506年頃の制作と言われていますが、この一角獣の部分はかつては別人によりぬりつぶされ、ある聖女像に描き変えられていたそうです。20世紀になってから修復され、現在の姿になります。
一角獣は貞淑の象徴であり、装飾品や服の豪華さから、結婚のお祝いに描かれたとも言われています。
この女性を見れば、ダ・ヴィンチからの影響が大きいことは一目瞭然です。
若きラファエロの卓越した才能がわかりますね。また、なぜ一角獣がぬりつぶされたのかという謎を持った名画でもあります。


右はカラヴァッジョの「洗礼者ヨハネ」です。
17世紀初頭の、カラヴァッジョ最晩年の作品であり、もともとボルゲーゼ枢機卿に贈られるものでしたが、実際に彼の手に渡ったのはカラバッジョが亡くなった後でした。
カラヴァッジョは殺人を犯し、逃避行のなかで描かれたものであり、ボルゲーゼ枢機卿へ贈ることで恩赦を期待していたとのことです。
怪しげで気だるい雰囲気のヨハネですが、闇の中に浮かぶ光は、外面的なものというよりは、洗礼を受けて変化した内面を劇的に描き出しています。


他には、ベルニーニの「シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の胸像」や、マルチェッロ・プロヴェンツァーレの「オルフェウスの姿のシピオーネ・ボルゲーゼ」といった、ボルゲーゼ枢機卿をモチーフにした作品も良かったですね。


ルネサンスやバロックの美術は、対面していると、ずっとそこに留まって居たくなるような魅力がある作品が沢山ありますね。そこに留まることで深奥へ導かれます。それは音楽にも言えることです。

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NHK「世界美術館紀行」取材班

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