東京オペラシティのヴィジュアル・オルガンコンサート 227

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先月サントリーホールのオルガンコンサートに行って、ああオペラシティの方が聴きたかったなと思った、と書いたのですが、今回はオペラシティの方へ。演目も興味深く、楽しみにしていました。

【東京オペラシティのヴィジュアル・オルガンコンサート 227】
(2024年6月28日、東京オペラシティコンサートホール)

カラーツ:トッカータ
タイユフェール : コラール
イベール : フーガ
ミシェル : 3つのジャズ前奏曲
オルブライト : 《オルガンのための交響曲》より「死のタランテラ」
ボウエン : ファンタジア

石川=マンジョル優歌(Org)


「知られざるオルガン作品を集めて」と題して、本当に中々お目にかからないような作品が並びます。1曲めのカラーツ以外は全て、このオペラシティのオルガンコンサートで初登場だそうです。すごい。227回もやってるのに。ステージには大きなスクリーンがあり、演奏者の手元、足元、真上をカメラ切り替えで見せてくれます。面白いですね、普通至近では見られませんからね。

赤いドレスで石川さん登場。1曲目はカラーツ、ベルギーのオルガン奏者、作曲家。1838年生まれだから、ビゼーやブルッフと同じですね。いかにもな和声の展開の仕方で嬉しい。オルガン曲らしい、この時代らしい、この感じね。とても素敵な曲でした。これが1曲目で良かったわ。後期ロマン派の中でも序盤って感じの曲。ロマン派オルガンというと、勝手にこういうの期待してしまうのですが、期待通りの良い曲でした。

1曲終わって石川さんのMC、雨降りの日でしたが、いわく「私はスーパー晴れ女で、今日は初めて『お足元の悪い中お越しくださり』を使った、記念日です」と。なんやねん。掴みは完璧だ! それから曲解説などをして、タイユフェール。2曲しかオルガン作品書いていないそうで、そのうちの1曲。音色の使い分けが面白い曲でした。続いてイベールのフーガ、イベール唯一のオルガン曲集「3つの小品」の終曲だそうです。やっぱりイベールも、オルガンの曲だと比較的真っ当になるんだなと、ちょっと変なとこで感動してしまいましたが、それは楽器的な制約なのか何なのか、しかしどこか、少しだけ奇妙な気もする半音などが聞こえてくるのは、やはりイベールらしさなのか。

イベールの後はヨハネス・マティアス・ミシェル(1962-)のジャズ曲という変わり種。ミシェル(ミヒェル)、調べてみたらマンハイムの教会奏者として活動して、バッハのCDなんかも出しているようです。日本ではあまり知られてなさそう。あとCPOレーベルからジークフリート・カルク=エーレルトのハルモニウム作品集とかも出してるのはサブスクにもある。すごい人なんだな。教会なので合唱団も率いている訳ですが、オルガンのためのジャズ風作品だけでなく、合唱のためのジャズ風作品も書いてるらしい。へー。ということで、そんな珍しい曲が聴けてラッキーです。まあ曲自体はね、いたって普通のジャズ風ポップスで、それ以上でも以下でもないって感じですが。1楽章Swing Fiveはまんまテイク・ファイブ、アドリブソロっぽい雰囲気あり。2楽章はBossa Nova、ゆっくりめのボサ、きれいで癒される。第3楽章はAfro Cuban、もっとゴツいアフロキューバンを予想していたら三連リズムだったわ、ウエスト・サイド・ストーリーのアメリカみたいな感じね。足でウォーキングベースできるから一人ジャズバンドみたいなのができちゃうんだなオルガンって。すごい。これをホールの巨大パイプオルガンで、ハモンドみたいな音楽が聴けたのはレアな体験でした。記事冒頭に貼ったCDにミシェル自身による録音があります。画像のリンク先で視聴もできます。

石川さんがとてと難しい曲と言う通り、本当に難しそうだったオルブライトの「オルガンのための交響曲」より「死のタランテラ」。足でグリッサンドしたり、手のひらで鍵盤抑えて弾いたりしていて、それがスクリーンで見られるのは面白かった。これは大変だわね、オルガン奏者ってやばいね。まあ曲自体はそこまで面白くなかったけど。そして最後はヨーク・ボウエン。「イギリスのラフマニノフ」と呼ばれたピアニスト、作曲家です。ボウエンのオルガン曲なんて初めて聴いたわ。石川さんも言うように、いかにも後期ロマン派でコテコテ、こういうのをオルガンで聴くのも良いものなのだ。良い曲だったなあ。今回初めてオペラシティのオルガンコンサート聞いたけど、スクリーンあるの良いわ。手元足元も良かったんだけど、なんかね、譜めくりの人がちょっと独特な雰囲気の女性で、その人が映るたびに気になってしまって集中力が削がれてしまったのも事実。まあ良いんですけど(笑) また聴きに行こう。

Albright: The King of Instruments & Other Organ Works
Angela Amodio


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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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