2023年2月にはアイカツ10周年記念Liveのファイナルというものがあり、そこで一応は記念行事の締めくくりとなるのだろう。それまでに、僕も10周年記念エッセイを2,3本書きたいと思っていて、忙しい(フリをしている)中で、何とか書くぞと筆を執った次第。本当のことを言えば楽曲レビュー記事の続きを書きたい。だけど、それについては僕も「よーし書くぞ」というやる気を見事に削がれるような例の事案によって、今は小休止を余儀なくされているというか、少し休憩している。まあでも、近々書くつもり。その前にもう一つ、音楽以外の話をしよう。前回書いたスターズ関連の記事は↓
スターズの次は初代についてにしようと前から思っていた。初代は長いから、あかジェネで一本書いてからいちご世代でグランドフィナーレ、三部作でどうだ、と今思った。ということで、あかり世代の話、に見せかけた僕のプライベートの話だ。
僕のTwitterアカウントの長年のファンの皆様(誰だ)であれば、僕がほぼ毎週土曜日に「今日のお空はどんな空」とツイートしているのをご存知のことでしょう……アイカツ好きであればもちろんこれが「大空お天気」のオマージュだと気づいてくれると思うけど、おそらく殆どのクラシック音楽好きのフォロワーさんは多分どうでも良いと思っているはず。むしろ何なのコイツ、と思われてるかも。これは要は、アイカツに登場する架空の朝の情報番組『おはよウォッチ』で、大空あかりというキャラクターがお天気キャスターとして、きぐるみの「おおぞラッコくん」と共に天気とフリートークをお送りするコーナーで、そのコーナーの始まりのセリフが「今日のお空はどんな空」なのである。
ツイートでは、とりあえず「大空お天気」のセリフを入れたらその日の天気を書いて、その後はいつも通りにクラシック音楽の話をするという、ただそれだけのことなんだけど、2020年3月20日(金)から始めて、2022年11月現在までで65回もツイートしている。あれ、ちょっと待てよ、初回は土曜じゃなくて金曜じゃないか! その後も稀に日曜にツイートすることもあったが、ほぼ土曜日。個人的には「大空お天気の土曜版」という位置づけで、一人で楽しんでいる。ズームイン朝に対するズムサタのポジションである。
【今聴いています】今日のお空はどんな空☀️秋晴れが続く、こんな休日には爽やかな音楽を。ベートーヴェンと同時代の作曲家、フランツ・ダンツィの交響曲全集。ハワード・グリフィス指揮スイス・イタリアーナ管の2007年録音。モーツァルトへの敬愛も伝わります😉#imakiiteiruhttps://t.co/raOeLF2K3X
— ボクノオンガク (@bokunoongaku) November 12, 2022
なぜズムサタなのか、この話は長くなる。まず『ズームイン!!朝!』という番組があり、これは日テレの朝の情報番組。宇宙戦艦ヤマトの音楽でおなじみ宮川泰作曲のテーマ曲もナイスな、後進番組の『ズームイン!!SUPER』も合わせると1979年から2011年まで放送していた、長寿番組である。司会者も徳光和夫→福留功男→福澤朗→羽鳥慎一へとバトンが受け渡され、まさに名物アナウンサーのSHINING LINE*なのだが、僕が毎朝ズームイン(とその後のZIP)を見るようになったのは結構遅くて、というのも子どもの頃は「朝はNHK」の不文律がある実家にいたため、ずっと朝といえば『おはよう日本』だったのだ。まあそのおかげで、般若のアルバム『おはよう日本』に思い入れを抱くことができたのだが、その話はまたいつか。そんな実家でも、土曜日だけは朝に民放を見てもOKということになっていて、土曜版ズームインである『ズームイン!!サタデー』を見るのはとても楽しみだった。
「大空お天気」がある架空の番組『おはよウォッチ』は架空のテレビ局TV TKYの番組で、これはテレビ東京をイメージしているのだけど、お天気コーナーのきぐるみといえば日テレの「そらジロー」だろう。登場するのはズームインとZIPではなく、早朝と夕方の情報番組だけども、「木原さーん、そらジロー」という呼びかけとともに始まるお天気コーナーは名物で、うちの子どもたちも覚えて、先日も真似をしていた。下の子が上の子に向かって「◯◯くーん!そらジロー!」と呼ぶと、上の子が「はい、今日は関東地方に大型の台風が接近しており……」などと言って、しまいには僕の方を指して「これは?」「これは……そらジローw」「ファーwww」とふざけていた。僕もおおぞラッコくん、ではなくそらジローと言われて、ああいうゆるキャラ好きなのでまんざらもでないのだけども。パパはそらジローなの?と聞くと、子どもたちは心底楽しそうに「そらジローwww」「デカいそらジローwww」と爆笑していた。いや、さすがにそらジロー本物の方が僕よりデカいだろ。
そういえば、上の子がまだ小さいときに妻がママ友さんたちと我が子を連れてそらジローに会いに行ったことがあり、僕は映ってはいないが汐留に見に行ったことがある。あとズムサタにも、義堂さんにお誕生日の子の名前呼んでもらうために行ったこともあった。だからなんだ、という感じだが、「日テレのお天気コーナー」も、「日テレの朝情報番組」もその「土曜版」というのも、個人的にはなんとなく意味があって、だから土曜の朝に「今日のお空はどんな空」と言いたくなるのかな、なんてね。ズームインは知らないけど、ZIPのお天気キャスターのお姉さんたちも人気ですよね。
僕も特別、天気について興味津々ということもないのだけど、そういう土曜のツイートをし続けてきたら、実際に少し天気のことを気にするようになった。いいものだ。外に出て、空を見る。それだけでも、部屋に籠もって音楽ばかり聴いているよりよほど健康的だが、天気と音楽を少し繋げて考えるのも、悪くない。なんか楽しい。
先日、図書館で偶然見つけた絵本がある。accototo(ふくだとしお+あきこ)さんの作で、『きょうのそらはどんなそら』という絵本である。思わず二度見した。長くアイカツのフアンをやっていたが、この本の存在には気づかなかった。そもそもアイカツを知らなかったら、この絵本に目を留めることもなかっただろうけどね。子どもの借りる他の本に混ぜて借りてみた。「きょうのそらはどんなそら?」と、猫が空を眺める絵本だ。かわいい。この猫がかわいい。灰色の猫。ああ、昔飼っていた猫と同じ、灰色の猫だ。うちの猫は外を冒険して、こんな広い空を眺めることはなかったろう、そんな考えも過ぎった。一日の空を追い、最後には「ねぇねぇ あしたの そらは どんなそら?」で絵本は終わる。明日また空を見るのが楽しみになる、そんな絵本だ。もっと早く気づいていたら、子どもが寝る前に読み聞かせしてあげたかった。しかし今はもう、逆にうちの子たちも「大空お天気」の方を先に知っているので、僕がこの絵本を置きっぱなしにしていたら、見つけた下の子があかりちゃんの真似して「今日のお空はどんな空?大空お天気です!」と言っていた。
きょうのそらはどんなそら 大型本 – 2009/9/1
ふくだ としお (著), ふくだ あきこ (著)
天気って、天上の話のようで、実のところ地上の人間の話じゃないですか。なんでしょうね、大空あかりって、その名前に反して、どっちかというと手の届かない天上人というより、寄り添ってくれる地上人的な輝きというか、天才に対する努力家、一般人代表というか。上が凄い人しかいないからか知らないけど、アイカツのLINEもあかりちゃんで。あかりちゃんからLINE来ると、皆嬉しいよね? あかりちゃんって、CEOとか役員とかじゃなくて、実務担当者のトップって感じなんですよね、LINE来るのって、そういうことだと思う。この仕事はいちごちゃんとか美月さんじゃなくて、あかりちゃんがやってるのが、なんか良いんだよね。もっとも、翼を得て大空へ羽ばたくアイドルな訳だけど、お天気キャスターという、地上から天をナビゲートするポジション、僕は好きだなあ。何者も近寄りがたい高潔さとか、圧倒的な天性の才能とか、そういう何か特別なものが僕自身には備わってないんだと、自分でもわかっているし、だから毎日毎日僕らは鉄板の上で焼かれるような日常を過ごしている訳であって、そのなんてことない毎日の日常に小さな幸せを見いだせる小市民的、プチ・ブルジョワ的な喜びを与えてくれる、そんなところがあるから、あかりちゃんのこと好きなんだよね。あとは僕のあかジェネの推しである紅林珠璃との関係もめちゃ素敵だから、好き。
僕は常に、人生に意味なんてないと思っているんだけども、「これだ!」という人生の意味を探さなければならないと躍起になるよりも、逆にただただ何となく生きているだけの日常、その小さな出来事に、自分だけの意味を見出して、宝物のようにそこに愛着を抱き、名前を付けて自分のポケットに入れること――今日のお空を見てからするツイート、朝の情報番組の「土曜版」、パパはお天気コーナーのきぐるみキャラクター、絵本の中に見つけた昔の飼い猫に似た猫――には、誰に共感されなくとも、温かい幸福を感じる。10周年を迎えたアイカツのおかげで、この10年(あ、5年くらいだわ)も、これから先の何年も、ずっとそういう喜びを見いだせるんだろうなと思うと、ひたすらに嬉しい。ありがとうアイカツ。
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more