グラナドス スペイン舞曲集:典雅とはまさにこのこと

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グラナドス:スペイン舞曲集

グラナドス スペイン舞曲集 作品34


「スペイン風」というと、僕たちはすぐに「情熱の音楽」という思いを抱いてしまう。
賑やかな音に力強いリズム、哀愁が濃厚に立ちこめるような旋律・・・そういった曲こそスペイン風だと感じる。
特にオケ曲をメインで聴いている人にとっては、もしかするとこの曲集は期待したほどの「スペイン風」を感じられないかもしれない。
「スペイン舞曲集」は、ピアノ独奏のための、4つの曲集であり、各曲集に3曲ずつ、合計12曲からなる。
アルベニスと並ぶスペインの代表的な「小品メイン」の作曲家、エンリケ・グラナドスの作品のなかでも有名な作品である。
特に第2番(第1集の第2曲)「オリエンタル」、第5番(第2集の第2曲)「アンダルーサ(プライェーラ)」は人気が高い。
ギター編曲もあり、こちらはぐっとスペインの香りだ。


僕ははっきり言ってそんなにこの曲集を頻繁に聴くわけではない。
ビゼーの「カルメン」やリムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」の方がよく聴くし、ファリャの「三角帽子」やラロの「スペイン交響曲」の方がまだ話題に上る回数が多い。
あるいはロドリーゴのアランフェス、チックコリアのスペインという選択肢。
「今日はスペインの気分!」などと思うときは、やぱり先に述べたようないわゆるスペインらしさを求めてしまうのだ。
ではこの曲集はどういうときに聴くのかというと、まったく陽気な雰囲気や賑やかさを求めていないとき、むしろ今はまったりしたいなあなどと思うとき、である。
というのは、民族音楽らしさはもちろんあるのだが、聴くと実に心安らぐ、非常にシンプルで耳にやさしい作品ばかりだからだ。
そういう点で僕は熱い気持ちの加わるギター編曲より、角の少ないピアノ版をお勧めする。もちろんギター版もとっても素敵だが、なんだか酒場にいるような気分になるので。
上に挙げた有名なものはやはり僕も大好きだが、それ以外で特に好きなものは第4番、第7番、第8番。
第4番(第2集の第1番)ビリャネスカ、村人たちの歌のことであり、長閑な旋律に鈴の音を表す高音がいい味を出している。
第7番(第3集の第1番)バレンシアーナは、ユーモアさと変化に富みつつも、かわいらしくまとまった奇麗な小品。
第8番(第3集の第2番)アストゥアリーナはアルペジオが美しい。南欧風ドビュッシーというような趣きだ。
特徴的なリズムや異国情緒の漂う旋律が、すべてピアノのための小品らしく、お上品に整えられて差し出されている。
間違ってもこの舞曲で踊ろうとなど、またはウキウキと心躍らせようなどと思ってはならない。
こちらもちょっと清楚で優雅な雰囲気で、陽の光が差し込む窓辺で椅子に座ってくつろぎながら、色彩豊かなピアノの音色に耳を傾けるのが良い感じだ。

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Author: funapee(Twitter)
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