たまたま行けるタイミングだったので、日本を代表するチェンバロ奏者の一人、家喜美子さんのリサイタルへ。ルーテルって市ヶ谷か、と思っていたら、大久保でした。あまりこの辺は来ないので、へえー、ふーん、と思いながらちょっと散策。イーストサイドスクエア、7年ぶりくらいに来たわ。タリーズで韓国語のレッスンしてる方がおられ、おおーシンジュクのイーストサイドだなあと思いました。
【家喜美子 チェンバロ演奏会】
(2022年12月2日、日本福音ルーテル東京教会)
L・クープラン 組曲ハ調
バッハ パルティータ第3番 イ短調 BWV827
L・クープラン パヴァーヌ 嬰ヘ調
バッハ パルティータ第4番 ニ長調 BWV828
アンコール バッハ ゴルトベルク変奏曲よりアリア
チェンバロ:家喜美子
家喜美子さんがリサイタルを開催するのは3年ぶりだそうです。コロナ以降で初、ということですかね。僕は生演奏を聴くのは初めてですが、録音ならばバッハのインヴェンションとシンフォニアやゴルトベルク変奏曲を聴いたことはありました。本当に素晴らしい録音です。今回はルイ・クープランとバッハ。パルティータ、好きなので、とても楽しみでした。何しろ会場が教会ですしね。日本福音ルーテル東京教会、初めて来ました。トイレ貸し出し不可と書いてあり身構えたのですが、今日はたまたま聴く前にトイレ行かないでも大丈夫だった、タリーズでコーヒー飲んだ直後だったけど、良かった……礼拝堂で大惨事にならないで済んだわ。神に感謝。
使用楽器はジョール・カッツマン製作(アムステルダム1998年)の、ヨハネス・ルッカース・モデル(1638年)。先日書いたヴォーン=ウィリアムズの記事で「チェンバロは、小さな部屋ではどんなにか響くかわかりませんが、大きなコンサート会場では決して心地良い音とは言えません。ミシンがカチカチ鳴っている音のようです」との名言を載せたのを思い出します。礼拝堂くらいの距離感と残響で聴くチェンバロ、それも一流の奏者の奏でる音は、とても良い響きでした。演奏前に少し解説をされて、今回は舞曲を感じてほしいとのこと。メトロノームかちかちのテンポ感では出ない、揺らぎが生む生命力のような。とても美しい音楽でした。特にルイ・クープラン、神秘的でさえありました。バッハも良かったですし、部分的にハッとさせられたのですが、ちょっと録音ほどの感激は得られず。ルーテルでバッハなんて最高なんですけどね、結構弾けてないところもあり、多分パルティータじゃない方が良かったかも……と個人的には消化不良。僕は昼公演を聴いたので、夜はどうだったのでしょう。ゆっくりした舞曲やアリアは大変良かったですが。とはいえ、全体として十分に伝わるものはありましたし、アンコールに神がかり的に完璧なゴルトベルクのアリア、シチュエーション込みで、これは食らったわ。うーん、ゴルトベルク、もっと聴きたい!と思わせられて終了してしまったので、後で家で録音聴きました。
教会でバッハのチェンバロ、良いですね。また聴きたいな。昨年秋は山縣万里さん、今年の春には中野振一郎さんのチェンバロを聴いて、なぜか最近チェンバロには縁があるのですが、皆違っていて面白いですね。
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more