アイカツ!のCDについて語る その18

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【序文】
このブログは基本的にはクラシック音楽について語るブログだが、どうしても記しておきたいと思うに至ったものについては、ここに記録して残しておこう。つまり、アニメ「アイカツ!」の音楽はそれほどに素晴らしい音楽であることは保証したい。ポップミュージックの進化の歴史の最先端は常にアニソンなのだ。なお、前提として、僕はクラシック音楽オタクではあるがアニソンオタクでもないし、アニメオタクでもないと思っている。実はスターズから見始めたにわかなので、スターズ曲紹介記事を2017~2018年に書いてから、2020年、この無印アイカツ曲紹介を書き始めた。スターズ曲と違ってネット上でも紹介記事は多いので、内容かぶったらゴメンナサイ。あ、ネタバレ注意。


TVアニメ/データカードダス『アイカツ!』2rdシーズン挿入歌シングル Beautiful Song
1 タルト・タタン
歌:もな from AIKATSU☆STARS!
作詞:只野菜摘 作曲・編曲:NARASAKI
2 Passion flower
歌:みほ・もな from AIKATSU☆STARS!
作詞:大塚ひとみ 作曲:中野領太 編曲:高橋浩一郎
3 はろー! Winter Love♪
歌:みき・るか・もな from AIKATSU☆STARS!
作詞:SINBYI 作曲:日暮和広 編曲:南田健吾

あかり世代最初の挿入歌シングル。ここに来て初めてMONACA曲が1つもないCDとなった。しかし名曲揃いなことに変わりはない。ちょっと古い感じで、個人的に好きな音楽ばかり。帯に「美しく咲く華たちの共宴」とあるように、美女2人が佇む、お美しいジャケも良い。美脚を披露する氷上と、まともなポーズでなお麗しい紅林。



タルト・タタン
太田裕美の「さらばシベリア鉄道」に、菊池桃子の「青春のいじわる」の吐息を大さじ一杯、Perfumeの「チョコレイト・ディスコ」の甘いソースとLionel Humptonの「Srardust」の星屑でトッピング、それをNARASAKIのオーブンで焼き上げたタルト・タタン。順位付けはあまり好まないが、全アイカツ曲の中で一二を争うお気に入りの曲で、シリーズ屈指の名曲だと思っている。この曲の歌詞などと本編を絡めた詳しい考察は、こちらの方のブログで熱く語られている。特にドレスと毒林檎のくだりは凄い。この方は僕と同じく霧矢推しのようで、やはり近い感性をお持ちだから、この曲の虜になるのかしら。

ということで、僕は音楽そのものの話をしよう。アイカツ曲の中では「Signalize!」以来のNARASAKI曲。十分に変態曲だが、土台が歌謡曲風で至極まっとうなポップスの印象も与える。そこがいい。ただの変態曲では氷上スミレ(歌唱担当もな)に似合わない、そういうのは風沢の役目だ。冒頭のベルからゴシック感満載、イントロのリフの音色もチェンバロ風で、古風な響きにちょいダサめな旋律がクセになる。肝はフレーズ終わりの「ダダッダッダダン」というアタックと、ティンパニの連打、今風と古風の融合だ。歌が入ると、スミレちゃん(歌唱担当もな)の初々しい声が超可愛いくて、吐息混じりに入る「アン・ドゥ・トロワ」には悶絶、うーん、氷上、顔だけじゃなくて全部可愛いやんけ……さながら昭和アイドルのデビューである。と思ってこの文章の初めに太田裕美と菊池桃子を挙げた。ティンパニの活躍する古典風の「さらばシベリア鉄道」と、ウィスパーボイスかつマイナーキーかつデビュー曲である「青春のいじわる」を思い出したのだ。しかし昭和なだけでない、平成らしくしっかりタイトな4つ打ちもまた心地いい。歌のメロディや歌詞の内容の良さもさることながら(この辺は書かなくてもわかる人が多いことと思います)、この打ち込みが絶妙。Aメロ終わりもきっちり同じリズムの「ダダッダッダダン」というアタックがフィルインとして入り、高音ヴォーカルでかわいさに拍車がかかるBメロを経て再びAメロ(サビ)に戻るときは、さらにパワーアップして倍のフィルインが入る、本当にすごい。これだけドスドスと打ち込んで、Aメロ(サビ)の終わりはどうなるかと思えば、16分音符連打。さらにさらに、そこからヴィブラフォンを含む謎のジャズセッションが始まる、何なんだこれは。こちらの気を一切緩めさせない。ヴァイブの活躍するモダンなジャムを背景に、スミレちゃん怒涛のウィスパー、フランス語詠唱、再び悶絶する。さすが作詞只野菜摘、異次元の雰囲気だ。それを強引に「ダダッダッダダン」で閉める、こういうやり方、好きだなあ。モダンジャズで誂えた間奏前半に対し、後半はエレクトロニカの幻想的な雰囲気。落ちサビも素敵だ、時計の音にオルゴールとここでもアンティークな趣きから、バシバシと電子的なスネアが2-4で挿入され4つ打ちの準備を始める、いやあ、NARASAKIの計り知れないセンスと技量が伝わってくる。すごい。こういうゴリゴリな音楽に、幼く少女らしい歌声と囁き声が乗る、このギャップというか、伝わりづらい凝った音楽と美少女が歌うこととの興味の大きさの差というか、いかにも「昔ながらの日本アイドルの音楽」らしい出来栄え。素晴らしい。大好きな曲だ。余談だが、そういえばと思って10年近く前にフランスで食べたタルト・タタンの写真があったなと、HDDから引っ張り出してみた。それが↓。本当に、ちょっぴり焦がしたタルト・タタンだったわ(笑)

ちょっぴり焦がしたタルト・タタン。実は旅行記の記事もあります。




Passion flower
聴いた瞬間に「あ、珠璃じゃん……」とわかる、思わず笑ってしまうほどコテコテのラテン。哀愁と情熱のメロディ、ギターとアコーディオンの音色、サビ後半のリズムパターンからフラメンコを感じる。最近よく本業(クラシック音楽の記事)の方でスペインの作曲家の曲について書いているけど、結構そちらの音楽は好きで、何より僕はあかり世代の中なら珠璃ちゃん推しなので、Twitterでも時々「珠璃語」を使って一人で楽しんでいますが……この曲は正統的なラテンというよりも、どこか昭和歌謡っぽさが強いところが、いかにもアイドルだなあと思い、とても愛おしい気持ちになるのだ。これはラテンという味付けをする前のベースになる音楽が何かというところであって、例えば自身の音楽性が強いアーティストであれば、ユーミンだろうがサザンだろうがTUBEだろうがポルノグラフィティだろうが、作り手の個性にラテンが加わった曲ができる訳だけど、基本的にアイドルに関しては提供者が意識するか他の音楽に寄せるかしないと「ラテン風+歌がメインの歌物=ラテン歌謡」の図式に乗ることになる。KinKi Kidsの「硝子の少年」は山下達郎という強い個性によって、モーニング娘。の「色っぽい、じれったい」はつんくのバランス感覚によって、あるいは今をときめく櫻坂46の「摩擦係数」はHIP HOPに、乃木坂46の「インフルエンサー」は上手くハウスに寄せて、ラテン歌謡から逃れている。そこで堂々の歌物を貫くアイカツはさすがの一言である。つまりグループアイドルとしてではなく、単騎で歌を聴かせる曲として作られたPassion flowerは、西郷輝彦や山本リンダ、あるいは山口百恵や郷ひろみと同一線上に紅林珠璃を置くことを可能にしたのだ。そもそも、父親がスペイン人でね、こんなにもスペイン色濃い(そしてキャラも濃い)アイドルが、そんな小洒落た今っぽいラテン風オシャレハウスみたいな曲でチャラチャラ歌うのなんざ似合わんのだよ。情熱のサングリアロッサをまとい、アンダルシアの熱い風を受け、歌い!踊る!それが!紅林珠璃!ふう、つい熱くなってしまった。なおここではジャケの通りスミレ(歌唱担当もな)と珠璃(歌唱担当みほ)で歌っている。珠璃ソロver.はshortサイズしか存在しない。頼む、10thアニバーサリー盤でソロ再録してくれ!お願い!セニョリータ!




はろー! Winter Love♪
あかり世代の新クリスマスソング。歌っているのはあかり(歌唱担当るか)、スミレ(歌唱担当もな)、ひなき(歌唱担当みき)のルミナス3人だが、みき・るか・もなと表記があるように、センターはひなきちゃん。PVでもとってもかわいいひなきちゃんが見られて眼福だ。アイカツ曲には今までクリスマスステージで使われていた「We Wish You a Merry Christmas」や、有栖川おとめの名曲「Angel Snow」といったクリスマス曲がある。4拍子のEDMにアレンジしてラップまで入る前者や、その2で熱く語った凝った楽曲の後者に比べ、この曲は非常にシンプルなクリスマスJ-POP。こういう曲ばかりだと面白味に欠けるんだろうけど、逆に少ないので「こういうのでいいんだよ」的な、じんわりと良い冬の曲を味わえる。2番Aメロの頭でひなきちゃんが「チクタク時計見上げ」と歌うところ、今までずっと叩いていたドラムの頭打ちが止まるのも、定番だが味わい深い。曲はシンプルとはいえ、よく聴くとベースもドラムも地味に暴れている。南田健吾節か。何よりクリスマス感のあるコーラスが良いね、間奏のゴスペルクワイアさながらの掛け合いも。歌詞もぱっと聴くと普通のラブソングっぽいけど、よくよく読むととても面白い。EDMではなく、ストリングス付きの豪華なロック・バンド・サウンドといった感じで、そういうクリスマスソングというと、僕はTOKIOの「ding dong」を思い出すのです……以前はファンクラブも入っていたし武道館も行った。アイドル好きの諸君、推しは推せるときに推そうね。


アイカツ!のCDについて語る その1(2020年3月17日)
アイカツ!のCDについて語る その2(2020年7月14日)
アイカツ!のCDについて語る その3(2020年8月11日)
アイカツ!のCDについて語る その4(2020年11月30日)
アイカツ!のCDについて語る その5(2020年12月22日)
アイカツ!のCDについて語る その6(2021年1月29日)
アイカツ!のCDについて語る その7(2021年3月15日)
アイカツ!のCDについて語る その8(2021年5月24日)
アイカツ!のCDについて語る その9(2021年8月5日)
アイカツ!のCDについて語る その10(2021年11月15日)
アイカツ!のCDについて語る その11(2022年3月15日)
アイカツ!のCDについて語る その12(2022年4月27日)
アイカツ!のCDについて語る その13(2022年5月26日)
アイカツ!のCDについて語る その14(2022年6月30日)
アイカツ!のCDについて語る その15(2022年7月8日)
アイカツ!のCDについて語る その16(2022年7月27日)
アイカツ!のCDについて語る その17(2022年8月7日)

アイカツ!のCDについて語る その18(2022年8月27日)


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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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