アイカツフレンズ!のCDについて語る その2

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【序文】
このブログは基本的にはクラシック音楽について語るブログだが、どうしても記しておきたいと思うに至ったものについては、ここに記録して残しておこう。アイカツスターズ!の曲紹介記事を2017~2018年に書き2020~2023年にアイカツ!の曲紹介記事を書き続いて未来へのSTARWAYのCD記事を書いたところで一段落。しかし、必ずや全シリーズの楽曲についてブログに書くぞという熱意だけは持っており、また2023年はアイカツフレンズ!の5周年ということで、ついに「アイカツフレンズ!のCDについて語る」記事へと一歩踏み出すことにした。自分でもヤバい予感しかしないが、まあ良いだろう、全シリーズ制覇に向けてどーんとコイ!の精神で臨みたい。なお、前提として、僕はクラシック音楽オタクではあるがアニソンオタクでもないし、アニメオタクでもないと思っている。ネット上の他記事と内容かぶったらゴメンナサイ。あ、ネタバレ注意。


フレンズの挿入歌シングル第1弾、3曲入りで3曲とも傑作である。帯には「色鮮やかな世界が始まる」とあり、ジャケットはラブミーティア、裏面にはドレスを着た大橋彩香と田所あずさがいる。作詞はすべて松原さらり、本当にフレンズ曲は松原さらりが支えているなあ、素晴らしい歌詞に感謝感謝。


TVアニメ/データカードダス『アイカツフレンズ!』挿入歌シングル1 First Color:PINK
01:6cm上の景色
歌:みお from BEST FRIENDS!
作詞:松原さらり 作曲・編曲:Mitsu.J (Digz, Inc. Group) 
02:アイデンティティ
歌:ミライ from BEST FRIENDS!
作詞:松原さらり 作曲・編曲:Coffee Creamers (Digz, Inc. Group) 
03:愛で溢れている
歌:カレン from BEST FRIENDS!
作詞:松原さらり 作曲・編曲:Mitsu.J (Digz, Inc. Group)


6cm上の景色
湊みお(CV:木戸衣吹)の持ち歌。みおちゃんは当時「重い女」としてネタになっていたが、ソロ曲はキュートで軽快。みおちゃんのブランド「マテリアルカラー」によく合う、透明感と硬さのあるクリスタルな電子音が可愛らしく飛び交う、とても良い曲。作曲はMitsu.J。基本は四つ打ちでも、リズムは可愛らしく踊るように飛び跳ね、ビート感もキレがある、良いバランスだ。そこに、子どもにも優しい美しいメロディ、この曲はシンプルにメロディがきれいで大好き。まずイントロのリフがかわいいし、chi chickというスキャット、これもめちゃかわいい(そしてちょっとエッチでドキドキする)。きれいなメロディにうっとりしていると、サビのフィルインでピアノとハープ、うーん、鳥肌ものだ。この一瞬のクラシック楽器のフィルインが魔法のように、まるでメイクをしてドレスを纏うように、子どもから大人への変身の瞬間を印象付ける。素晴らしい。サビの「6cm上の景色見たい 背伸びしたい だってパパの知らない私がいるの」というサビの歌詞、天才的である。タイトルもそうだが、一般的に7cmからをハイヒールと呼ぶらしく、ここで6cmにする松原さらりのセンスには脱帽。「ちょっと背伸びしたい、けどまだ子ども」という年頃、なんかさ、僕も娘を持つパパなので、こういうの聴くとね、もやもやした何とも言えない気持ちになるわ。「パパの知らない私」はきっと「ママには内緒のオトナモード」を発動するんでしょうね。Dメロではチッチと鳴く小鳥が「もうヒナじゃない」と主張する、たまらんですね。この辺の境界線の曖昧さが上手く出ている、フレンズ屈指の傑作の一つ。


アイデンティティ
フレンズは比較的シンプルな曲多めで行くのかなと思っていた矢先に、とんでもない爆弾が出てきた感。アイカツ曲においては過去にもいくつか例があるのだけど「子供向けとは思えない音楽性の楽曲を子供向けという体裁・制限下で作ることによる面白さ」みたいなのがあって、これもそういう意味では「やさしい電波系入門」的な、摩訶不思議かつオンリーワンな音楽が出来上がっている。歌はミライさん(CV:大橋彩香)、素敵だ。イントロのインパクトあるフレーズ、これは後に決定的なパンチラインの歌詞を伴って再登場する。まるで黒ネコのタンゴのようなこの情熱的なフレーズは、元ネタとしてはDance With Meというタンゴの曲が非常に近くて、様々なタンゴ曲のアレンジに「タンゴですよ」というジングル的な効果としても使われるもの。ポップ・ミュージックではDebelah Morganがソウル/R&B風にリメイクしたDance With Meでもイントロでこれが聴かれ、やはりインパクト大。「アイデンティティ」は別にタンゴ曲ではないが、それが唐突に出てくるところが良くて、他にも全体的に意味不明っぽさを演出しようと、音色のチョイスがとっ散らかっていてめっちゃ面白いし、歌詞がまたそれを上回る面白さのナンセンスな言葉遊び、もう本当に最高。ミライさんの「チガカワ」イズムを音楽で精一杯表現している。人と違っていい、それが面白い、と。だからといって、変に攻撃的だったり下品だったりしないのがアイカツらしさでもある。ノリノリのAメロから艶っぽいBメロ、Bメロ後半のスネア連打も可笑しくて好きだなあ、そして「あぁわたしだけのアモーレ」が全てを持っていく。素晴らしい。サビでは小さなお友達に「アイデンティティとはなんぞや」を丁寧にレクチャー。その後の取ってつけたようなジャズ風ピアノも、また冷静に考えるとかなりダサい「フリリ、フリリ、フリフリフリーダム」も、とにかく自分の「好き」だけを集めたおもちゃ箱のようだ。Dメロで3拍子になるのも「異色」であるには必然か。ここが歩く個性リリエンヌなら7拍子なのだが、ここで言う「異色」は「奇抜」ではない。あくまで「自分を自分で認めよう」というアイカツ的自己肯定を少女たちに語りかけるようなミライ先生なので、風変わりイコール3拍子、くらいでちょうどいいのだ。終始ちょっと変な音ずくめ、カチカチ、ゴーンって、なんじゃそりゃ(笑) そうそう、この曲のSEと言えば、やたら犬が吠えてるんだけど、これが「子犬激おこ」なのかな? まあ、本人はうさうさなバニーのコーデで黒ネコのタンゴみたいにアモーレと歌ってたら、子犬も激おこだろうな。



愛で溢れている
カレンさん(CV:田所あずさ)の持ち歌。いいですか皆さん、僕は霧矢あおい、二階堂ゆず推しですからね、フレンズではもちろん神城カレン……ではなくて、敢えて言うなら蝶乃舞花推しですね。まあでもフレンズはなあ、特に際立ってこの子、っていうより箱推しかな。それはともかく、ころあずソロでこんな愛に溢れた曲を聴けるなんて幸せ、ありがとう、とりあえずWaver聴きましょう、名盤なので。さて本題に戻ろう。このCDは3曲とも名曲で、この「愛で溢れている」もとっても良い曲なんだわこれがまた。シンセポップにほんのりソウルフルなディーヴァ風の味付け、ソウルの趣きなど微塵もない澄んだボーカル、アイドルかくあるべし。さすがトップアイドル、その年で愛の大事さに気付けるとは、さすがだ。作曲はMitsu.J、6cm上の景色をはじめ、他にもフレンズの曲をいくつか作曲し、なんとスターズのOne Stepも作曲している。なるほど。シンプルできれいなメロディを持つ、バランス良い音楽を作れる方なんですね。「愛で溢れている」は東方神起の「どうして君を好きになってしまったんだろう?」を彷彿とさせる雰囲気。美麗なハープやヴァイオリンの音色が落ち着いた雰囲気を醸し出し、深いバスドラやエコーが効いた水の滴るような響きなど、空間の広がりも感じる。引き算の美学というか、余計なものはなし、メロディの美しさとヴォーカルの歌声の魅力がダイレクトに届く。それがまた、好きなものをとにかく沢山集めた「アイデンティティ」と良いコントラストをなす。ラブミーティア、強いな。なお、島谷ひとみの「YUME日和」に似ているという指摘を見て笑ってしまった。確かに。ドラえもんファンだけど、盲点だったなあ。ワンニャン時空伝じゃん。懐かしい。まあドラえもん曲で言うなら、NiziUのParadiseも近いぞ。空の理想郷ね。


アイカツフレンズ!のCDについて語る その1(2023年5月19日)
アイカツフレンズ!のCDについて語る その2(2023年6月17日)


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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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